● 脊椎分離症/すべり症
  (Spondylolysis/Spondylolisthesis)

 腰椎の椎体の後方で関節をつくっている上下の突起部分が分離し、蝶番がはずれたような状態になるものが脊椎分離症です。椎体が前方にすべり、神経を圧迫し、腰痛や下肢痛をおこす病気を、脊椎すべり症と言います。脊椎すべり症の多くは分離症を伴っています。

【原因】

 脊椎分離症の原因は明らかではありませんが、成長期のスポーツ障害によってよくおこります。水泳、体操、ボートなどの反復性の動きにより、脊椎の多くは、第五腰椎の関節突起部が、屈曲などによって反復して圧迫されると、その力に耐え切れずに骨折分離する疲労骨折だと考えられます。

 骨折分離により、痛みなどの症状があらわれます。また、先天的に分離している場合もあります。

 脊椎すべり症は、椎体が正常な位置を外れて前方にすべり、脊髄の神経を圧迫し、腰痛や足の痛み、しびれをおこすものです。

【症状】

 主に腰痛が多く、ももの後ろ側の痛み、下肢の痛みやしびれを伴うこともあります。安静時に痛みを感じることは少なく、同じ姿勢を続けたり、後屈時によく痛みを感じます。特に歩行も妨げられ、運動や労働によって症状は悪化します。

【診断】

 問診、視診、理学検査などをおこないます。椎間板ヘルニアなどの合併が疑われる時は、造影剤を用いたX線検査などを行います。

【治療】

 軽度の痛みは、安静や運動中止によって良くなる場合が殆どです。特に学童、少年期の場合は経過も、手術後の予後も良好です。脊椎分離症の初期は固定安静を3〜4ヶ月続けることで、分離部の骨が癒合して、治ることもあります。

 腰痛症の治療と変らず、日常生活で姿勢に注意することが大切で、前屈みの姿勢を長く続けることは禁物です。
 痛みがひどかったり、日常生活に支障がある場合は、分離したところを切除する手術や、固定をする手術が行われます。


 情報室 MENU に戻ります